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まつたけのブログ

世界の片隅で愛を避ける孤独なキノコの魂の叫びを聞け!…聞いてください(◞‸◟)猫とマンガとアニメと嵐をこよなく愛するまつたけによるまつたけのブログ

太宰治のおすすめ作品を選んでみた

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6月19日は桜桃忌、というわけで太宰治のおすすめ作品を選んでみました。

ちなみに桜桃忌というと太宰治の命日みたいに思っている方もいますが、命日ではなくて太宰治の遺体が上がった日ですね。

太宰治が愛人の山崎富栄と玉川上水に入水自殺したのは6月13日なんですけど、遺体が上がったのが6月19日なのと、奇しくも太宰治の誕生日も6月19日だったのでこの日に太宰治を偲びましょうってわけで桜桃忌とされました。

ブログを書くのめっちゃ久しぶりなのでどうでもいいトリビアから始めてみました。

独断と偏見だけで選んだ太宰治のおすすめ作品

太宰治のおすすめ作品を選んでみた、というわけで完全に個人の趣味という名の独断と偏見だけでおすすめ作品というか、太宰治の好きな小説を短編長編問わず選んでみました。

ただこれはほんといきなり言い訳なんですけど、本当はこの機会に一度太宰治の作品をざっとでも全部読み返すくらいのことをすればよかったのですが、本当ににわかに適当に自分が好きな太宰治の小説や面白かった作品、印象に残っている作品を選んでみようと思い立ってしまっただけなので、めちゃくちゃ穴だらけにもほどがある感じになると思います。

なにしろ僕が太宰治にハマってむさぼるように全作品を読んだのは銀河系のはるか昔、僕がまだ小学校4年生~5年生だった頃のことなので、太宰治好きか嫌いかで言えば自分としてはもちろんめちゃくちゃ好きなつもりでいるのですが、いまだに根強くディープなファンのたくさんいる太宰治ファンの方の前であんまり大きな声で自分も太宰治を好きであるとは公言できない感じです(なので内緒にしてください)。

ただでさえ読んだ端から片っ端から忘れていくタイプの優秀な脳みそを誇る人間なので、読んだのが小学生の頃とか、母の胎内にいた頃の記憶について語る三島由紀夫の記憶よりもはるかに曖昧、はるかに不鮮明不明瞭な記憶ですので、ぶっちゃけどんな話だったかとかラテン語名詞の活用変化くらい記憶にないんですけど、そういえばラテン語名詞の活用変化とかそもそも勉強したこともなかったことを思い出しつつ、がんばって曖昧な記憶と貧弱な脳みそを振り絞って太宰治のおすすめ作品を選んでみました。

太宰治といえば代表作と言われる人間失格と斜陽について

いきなりですが太宰治のおすすめ作品って言っても人間失格も斜陽も入ってません。個人的にそんなに好きではないからです。

今読めばまたもう少し印象も変わるのかもしれませんが、少なくとも小学校4,5年生だった頃の僕は、太宰治なんてアホみたいに面白い小説ばっかりなのに、なんで太宰治の代表作というと一般にすぐ人間失格、斜陽なんだよ!文部省(※当時)の偉い奴ら出てこいや!ってことがめちゃくちゃ不満だったんだと思います(※一部事実と異なる箇所がありますが表現上の演出ですのでご了承ください)。

人間失格とせいぜい斜陽くらいしか読んでない奴が太宰治をとくとくと批判(それも太宰治の場合決まって彼の作品批判が彼自身の人格と深く結び付けられて語られるので決まって太宰治や太宰治ファンの人格批判になる)しているのを見たときの口惜しさは、尾崎豊を卒業や15の夜の歌詞を論拠に知ったふうな否定をされるときの口惜しさと自分の中でかなり近いんですけど、わかる人だけでもわかってこの感じ!

いや、人間失格も斜陽も、これが名作だこれが文学だみたいにいう人の気持ちもなんとなくくらいはわかる気がするんですけど、こちとら愛読書はいまだに少年ジャンプって知能指数の人間からすると、太宰治なんてもっと他にいくらでもお腹を抱えて爆笑できる傑作ギャグ小説(だとマジで思ってます)があるのに、なんで学校の推薦図書みたいなのになるときまって人間失格、斜陽なのかってことがすごく不満なのです。

たとえばですよ、これはただの例え話なので実在する誰の話とかではないんですけど、かつてカリスマ的な天才性を誇ったお笑い芸人が、映画監督になってまじめぶってクソつまらない映画を撮って、その映画だけ観た人間が知ったふうにその芸人の才能を全否定したりしたら、彼のお笑い芸人として輝いていた頃の天才性を知っている人としてはめちゃくちゃ歯がゆいような口惜しい気持ちになると思うんですよ。

・・・ちょっと自分でもなんの話をしているのかわからなくなったんですけど、これはかなり仮にも太宰治ファンを自称する人間の中でも偏った意見なのは承知しつつ、僕にとって人間失格とか斜陽は、太宰治が「おいおい、俺のこと見くびるなよ?俺をただのギャグ小説家として下に見るんじゃねえぞ。俺は本当はこんなちゃんとした文学文学した小説だって書けちゃうんだからな!」みたいな自負心でうっかり書いてしまった…あ、やっぱそれは言い過ぎかも、とにかく違うんです、僕の中で太宰治は大天才ギャグ小説家なのです。

そしてそれはもちろん少しも太宰治のことを見くびってるとか下に見てるとかじゃなくて、むしろ僕にとっては最高の小説家ってくらいの意味合いなんですけど、なんか文学っていうと急に堅苦しくなるというか、重くて暗いものだったり、深刻げなものだったりばかり過剰に持ち上げ過ぎで、ややもするとギャグ的なものは下に見られたり見くびられているような気がします。

そんなことだから学校や先生のおすすめっていうから夏休みに人間失格を読んでみたけど、なんか暗くて気持ち悪いし、太宰治は、っていうか小説なんて読んでもつまらない、みたいな感じになっちゃう人が毎年大量発生してしまうのではないでしょうか。

まあそんな学校教育の方針みたいなものに問題提起したりする気は少しもないし、もちろんインテリ的な意味でのマッチョな人たちに言わせればどうせそういう奴らには最初から文学を嗜むだけの知性も感性もないんだからしょうがないみたいな話になってしまうのかなとか思いつつ、僕としては縁あってこのブログを読んでくれているような若い人たちにはですね、ぜひぜひ暇なときに「暇だし太宰治でも読んでみるか~」ってなった場合にはですね、とりあえず有名だからって理由だけで人間失格や斜陽にいきなり手を出すのではなく、まずはもっと面白くて親しみやすいギャグから入るといいんじゃないかなーってことを言いたいわけであります!

なかなか本題にたどり着かない太宰治のおすすめ作品紹介

・・・あれですね、記憶もないし、適当に印象に残ってる太宰治の小説をタイトルだけおすすめ作品と銘打って紹介するかと思って書き始めたんですけど、まだ一作たりともおすすめも紹介もしないまま3000字(とそれを書くのにかかった時間)がいたずらに消費されてますね・・・。自分でもびっくりしました。

とにかく太宰治の真骨頂は、本質は、といってあまりに独善的すぎるなら、僕が個人的に太宰治で一番好きなのは諧謔味でありユーモアなんじゃよ~、っていう視点で太宰治のおすすめ作品をいい加減そろそろ選んでみたいと思います。

そして諧謔味やユーモアの面白さをお腹を抱えて笑いながら楽しんでいるうちに、自然に人間失格や斜陽みたいな作品を読んでも「おいおいwwwwなに小難しげな面して深刻ぶった小説なんて書いちゃってんだよwwwwww文学かよwwwwww最後は結局自己イメージに飲み込まれて心中とかwwwwwwwwマジ道化wwwwwwほんとピエロwwwwwwwリアクション芸人も目じゃないくらい人生レベルで体張っちゃう太宰さんマジかわいいwwwwwww」みたいな包摂的な視点で太宰治を溺愛できるようになるのが正しい太宰治愛であり太宰治理解ではないかと個人的には大まじめに考えているのですが、多分他の太宰治ファンのみなさんの前であまりこういうことを言わないほうがいいです、僕としては悪気なんてないし心からの愛情なんですけど、ちゃんとしたファンの人たちからはめっちゃブチ切れられる気がしてきました・・・。今のうちに謝っておきます、どうもすいませんでした。


人間失格・生まれてすみませんステッカー

「言ったそばからまた余談、か?」な太宰治のおすすめ作品紹介

さて、いい加減一作も紹介しないままだらだらカウパーのように前書き(?)を垂れ流すのも、さすがに「生まれて、すみません」とぺこぺこ謝ってみせながらもうん十年と人様にさんざん迷惑をかけながら生きてきてしまった面の皮の厚い僕としてもさすがに申し訳なくなってきたので、異常に重たい腰を持ち上げて太宰治のおすすめ作品の紹介に移りたいと思います。

あの、言ったそばからまた余談で本当に申し訳ないんですけど、「人に迷惑を掛けたくない」とか申し訳なさそうな面して平気で言えちゃうような奴に限ってよっぽどまわりの人たちに普通ありえないような迷惑かけまくるのなんなんですかね?自分と関わりのない他人ごととして見ている分にはすごく面白いなーって思って見てるんですけど。

まあそんな話はマジでいいとして、「言ったそばからまた余談、か?」という、るろうに剣心の斎藤一の名言の素晴らしいオマージュ(自画自賛)を生み出せたところで、僕が小学校4,5年生の頃に太宰治にハマっていた頃のあやふやな記憶だけを頼りにあやふやな太宰治のおすすめ作品の紹介に入っていきたいと思います。ここまでたどりつくのにすでに4000字が消費されていることにはお互い気づかない振りで最後まで突っ走って行きましょう!

ぶっちゃけ太宰治が好きな人ならなに読んでも面白いし逆もまた然り

えっと、いきなり身も蓋もない結論から言ってしまうと、だいたい太宰治はなに読んでも面白いです。逆になんか読んでみてつまらなかったとか嫌悪感を覚えたということであれば、むしろ他のどの作品を読んでも多分つまらなかったり嫌悪感がいや増すだけだと思うので、あなたには太宰治は合わなかったということでそこでもう読むのをやめるのが一番被害を最小限に抑える方法のような気がします。

でもまあ「何を読んでも面白いよ、以上!」で終わってしまっては、太宰治のおすすめ作品を選んでみたという記事タイトルでここまで4000字の駄文を読んでしまった人から暇人風情の分際でマジでなにを言われるかわからなくてこわいので、最低限の責任を形だけでも取ったように取り繕うという意味で太宰治のおすすめ作品の紹介に入っていきたいと思います。

太宰治のおすすめ作品 晩年

さんざん太宰治の本質はギャグだユーモアだとほざいておきながら、いきなり晩年を選んじゃうのはどうなんだと思いつつ、一応自分なりにちゃんとした意図も貧弱な根拠もあります。

この晩年という作品集は記念すべき太宰治の処女作品集です。そして単に太宰治の処女作品集であるということにとどまらず、もともと自殺を前提にしたほとんど遺書のような、最初にして最期の作品集にもなる予定だった、まさに太宰治渾身の一冊が晩年なのです。

なので、というのも変な話ですが、最初にとりあえずこれ一冊読んでみて、なにも琴線に触れなかったり嫌悪感を覚えるようなら太宰治は合わないということがほぼ確実に言えるような気がします。そういう太宰治の試金石ともなってくれる大変便利でありがたい一冊としても機能してくれるのではないでしょうか。かなり適当こいてることは承知してますが、自分なりに確信もあります。

ちなみに僕はハマりました。ハマったから今こんな文章書いてるわけですし。

太宰治の名前も知らず、小学生にして「晩年」というタイトルに運命的に惹かれるものを感じて手に取るような子供だったので、子供の頃はちょっと人よりもませた感じの老成した子供だったのですね。人よりも中二病の発症が早かったとも言えるかもしれません。まあ問題はいまだに治ってないってことなんですけど。

中二病と似たニュアンスで「太宰治ははしかだ」って言われ方もしますけど、どうなんでしょう、僕はそういうことを言う人は太宰治の本質を理解している人ではない、というとあまりに独善的な言い方ですが、太宰治に本当にハマれる人ではないのではないかと思います。

以前ツイッターで熱狂的な太宰治ファンの無名のAV女優が「太宰治ははしかじゃない、エイズだ」というようなことを言っていたのがいまだに記憶に残っています。まあこの発言はもちろんいろんな意味で不適切な問題発言なんでしょうけど、言いたいこととしてはものすごくよくわかる気がしました。

太宰治は太宰治適格者とでもいうべき因子を持っている人だけが熱狂的にハマる作家のような気がします。もちろんその要素とか因子というのははなんの優秀性を証明するようなものでもなく、むしろ太宰治に否定的な人たちや嫌悪するような人たちからすれば「太宰治適格者」共の劣等生を証明するような唾棄すべきものでしかないのかもしれませんが。

それはともかく小学校4年生当時の僕がどれくらい中二病だったか、もとい、どれくらい太宰治にハマっていたかというと、持っていた筆記用具にすべて津島修治と署名を入れていたくらいです。テストに「津島修治」と名前を書いたときは僕の太宰治への傾倒に生温かくも一定の理解を示してくれていた担任の先生からもお前それはやめろとさすがに怒られました(当たり前)。

「あいたたたた・・・」って感じだと思うんですけど、多分太宰治にハマるということは多かれ少なかれそういう痛い要素をはらんだことだと思います。恥ずかしげもなく自分で言うことでもないですが。

でもそれくらい、まだ10年しか生きていない子供ながらに、誰にも言えないし言ってもわかってもらえないと思っていた自分自身の姿をはじめて読んだ太宰治の晩年の中に見つけた僕の衝撃はいまだに特別なものであり続けています。

冒頭「撰ばれてあることの 慌惚と不安 と二つわれにあり」という有名なヴェルレーヌのエピグラフから始まるのですが、もうその一文だけで運命的なものに出会ってしまったというほとんど天啓のような衝撃がありました(嫌な子供ですね・・・)。

そこからはもう一気に夢中になって、文字通りむさぼるようにして読みました。

あんな達者な文章自分が書けるはずがないのに、それでも吐露されている内面に心情的にはこれを書いたのは自分なのではないか?という錯覚にぞくぞくしながら読みました。太宰治が好きな人なら多分多かれ少なかれみんなそうやって読んでるんじゃないかと思っているのですがどうでしょう。

太宰治自身の「晩年」に就いてという文章がこれがまた名文なので少し長いですが引用してみます。

「晩年」は、私の最初の小説集なのです。もう、これが、私の唯一の遺著になるだろうと思いましたから、題も、「晩年」として置いたのです。
 読んで面白い小説も、二、三ありますから、おひまの折に読んでみて下さい。
 私の小説を、読んだところで、あなたの生活が、ちっとも楽になりません。ちっとも偉くなりません。なんにもなりません。だから、私は、あまり、おすすめできません。
「思い出」など、読んで面白いのではないでしょうか。きっと、あなたは、大笑いしますよ。それでいいのです。「ロマネスク」なども、滑稽な出鱈目でたらめに満ち満ちていますが、これは、すこし、すさんでいますから、あまり、おすすめできません。
 こんど、ひとつ、ただ、わけもなく面白い長篇小説を書いてあげましょうね。いまの小説、みな、面白くないでしょう?
 やさしくて、かなしくて、おかしくて、気高くて、他に何が要るのでしょう。
 あのね、読んで面白くない小説はね、それは、下手な小説なのです。こわいことなんかない。面白くない小説は、きっぱり拒否したほうがいいのです。
 みんな、面白くないからねえ。面白がらせようと努めて、いっこう面白くもなんともない小説は、あれは、あなた、なんだか死にたくなりますね。
 こんな、ものの言いかたが、どんなにいやらしく響くか、私、知っています。それこそ人をばかにしたような言いかたかもわからぬ。
 けれども私は、自身の感覚をいつわることができません。くだらないのです。いまさら、あなたに、なんにも言いたくないのです。

さすがですね。めっちゃ自覚的に自分自身の優劣について誰よりも的確に語れてしまう太宰治。だからこそ誰よりも自分自身について的確に絶望もしてしまうわけで、なかなかそう考えると悲しい話なんですが。

それはともかく、僕にしても最初に読んでいたのがいきなり人間失格や斜陽だったらどうなっていたかわかりません。太宰治にハマっていなかったかもしれないし、あるいは人生の道を踏み外すこともなく今頃まっとうに生きていたかもしれません(まあそれはないと思いますがw)。しかしそんな仮定がすべて無意味に思えるほど太宰治の「晩年」は自分にとっては運命的に出会えた一冊という感じがします。

よくも悪くも太宰治という人間のすべてが詰まった渾身の一冊であるだけに、まず最初にこれ一冊読んでみて感じるものがあるかないか、まあ感じるものって言っても嫌悪感でしかなかったらしょうがないんですけど、その辺りも含めて判断するのには最適な一冊かと思います。そういう意味では唯一太宰治を読んだことがない人にも自信を持っておすすめできる一冊です。


晩年 (新潮文庫)

太宰治のおすすめ作品 お伽草紙

これはあまり誰からも文句のないチョイスなのではないでしょうか、太宰治のお伽草紙。文句なく面白い一冊だと思うのですがどうでしょう。

太宰治が人間としてどういう人間だったか、どういう人格かということを抜きにして(なんてことは本当はナンセンスだし言えるはずないのですが)、単純に桁外れの文才だけでいかに圧倒的に面白い文章を書けるかという意味で言えば、いまだに太宰治のお伽草紙を上回るものを知りません、って言ってもまあ説得力を持つほど他の人たちの小説を読んでるわけでもないと思うので説得力ないんですけどw

とはいうものの、作家としての価値をどこで計るかということは人によっても異なる難しい問題だとは思いつつ、最も作家としておいしい脂身が乗っていたのはやはりこの時期、中期の短編ではないかと思うのですが、お伽草紙はその中でも他の誰にも超えられないピークであろうと思われるものがあります。お腹抱えて笑います。


お伽草紙 (新潮文庫)

太宰治のおすすめ作品 走れメロス、と見せかけて女生徒

いや、別に見せかけなくてもいいし走れメロスも言わずもがなの名作なんですけど、小説なんて単に読んでおしまいでいいのに、さんざん学校教育とやらで延々何時間もかけて読んだりするもんだから、正直個人的には長い間食傷気味だったというか、辟易としてしまっていたのですよね。

そして個人的に「女生徒」めっちゃ好きなのです。いや、僕が女子中学生や女子高校生が好きだという話ではなく。マジでそういう趣味ないから。と言っても男子中学生や男子高校生が好きという意味ではもっとなく。なに言ってもドツボにはまるパターンに自ら陥りそうなのでもうやめますが。

一緒に入ってる「富嶽百景」も「帰去来」も「故郷」も名作だし素晴らしいですよね。まあ太宰治の名作で編んだ短編集なんだからそうそう間違いなんてあるはずないじゃんって感じの一冊。


走れメロス (新潮文庫)

ぜんぜん、というかあまり関係はありませんが、そういえば以前感想記事を書いたことがあったのを思い出したので、森見登美彦さんの新釈 走れメロスも素晴らしいのでおすすめです。

太宰治のおすすめ作品 ろまん燈籠

なんか一気に地味になった感がありますが、地味ながらもいまだによかったな~という味わい深い印象と感動の余韻が残っているのがろまん燈籠。

太宰治というどうしようもなく弱くてずるくてダメな人の、弱くてはかなくてもろい、そしてやさしい理想がきらきらと光り輝いてます。

地に足をつけて現実としっかり向き合えるタフな人や現実主義者はこういう消えかけた街灯みたいな理想には目もくれないような気もしつつ、真っ暗闇で膝を抱えて泣いているようなどうしようもなく弱く女々しい人間としては太宰治のこういう弱さとやさしさにはやはりたまらなく惹かれてしまうものがあります。


ろまん燈籠 (新潮文庫)

太宰治のおすすめ作品 パンドラの匣

ろまん燈籠と似た意味で大好きなのがパンドラの匣。太宰治としては例外的に健康的な明るさを感じさせる作品ではないでしょうか。きらきらと少しまぶしいくらいに美しい青春を感じさせる作品です。でもまぶしすぎない絶妙な明るさ加減が太宰治の真骨頂。ほっこりします。読んでいる時間を愛おしむようにページをめくってしまう作品です。

太宰治というとすぐ「暗い」の一言で切って捨てたような気になる人が多いのですが、太宰治が暗いというのは少なくとも個人的にはあまりぴんときません。そういうことを言って切って捨てたような気になっている人たちのことはなんとなくこっちでもわかった気になってしまうのですが、個人的には太宰治は暗いんじゃなくて、ほのかに明るい作家なのだと思っています。

基本背景が暗いからこそ、明るさを際立たせることができるのではないでしょうか。などということをわたくしつらつらと思う次第であります。


パンドラの匣 (新潮文庫)

太宰治のおすすめ作品 津軽

これまた健康的な一冊ですが、文句なく傑作。

あいまいな表現でほとんど話を覚えてないのをごまかしてるとかじゃないです、ほんとそんなんじゃないです。だんだん口数が減ってきたのも単にいい加減飽きてきたのと疲れてきたのとお腹が空いてきたからそろそろ終わりにしようと思ってるとかじゃないです。

健康的ということの意味ですが、人間失格的な自己耽溺って僕は個人的には気持ち悪いと思うんですよね。もちろん自己耽溺って言ってもほんとは耽溺しきってるわけじゃなくて、どこか覚めた目でそういう自分のことも自覚しつつ、そういう演出をしちゃってるだけなんですけど、そういう演出も含めて僕は自己耽溺であり自己陶酔だと思うのです。

そういう意味で、徹底的に自分を客観視する視点が常にあるという意味で「津軽」は非常に健康的です。とはいうものの、そういう客観視点の源って実は自己耽溺と裏腹の自意識でしかないわけで、結局過剰なそれは最後には自分を滅ぼす方向にしか向かわないんですけどね。

むしろそれをここまで抑制して文章表現の中に昇華しきった太宰治の文章力こそ讃えられるべきで、本当に桁外れすぎてなんと言えばいいのか言葉がありません。

ちょっとなに言ってるかわからないと思いますが、僕の言うことなんて一切無視して普通に読んで大丈夫です。傑作です。


津軽 (新潮文庫)

太宰治のおすすめ作品 燈籠

先に挙げた「女生徒」とかこの短篇集に入ってる「千代女」とかもそうなんですけど、太宰治の女性視点の告白体の小説での生き生きっぷりには眼を見張るものがあります。天才的です。つまり変態的です。

「こいつこれ書いてるとき絶対楽しくてしょうがなかっただろうなー。筆が止まんなかっただろうなー」と思わせるくらい活き活きとしています。実際どうだったかなんて知りません。苦労だけが名作を実らせるなんてくだらない神話も個人的には信じておりません。

とにかくそんなわけで「燈籠」がすごく好きです。一緒に入ってる「日の出前」も好きな人多いんじゃないかな。

「黄金風景」は個人的にそんなに好きな話ではないんですけど、まあ太宰治らしいといえば太宰治らしいし、たしか昔吉本隆明さんが短編小説ベスト10かなんかを選んだときに入ってて「へー、吉本隆明ってそういう趣味の人なんだー」って少し意外に思ったことがあったような気がします(うろ覚え)。

「畜犬談」も太宰治にしては珍しく露骨なくらい露骨さを剥き出しにして笑いを取りにいってる感じがあんまり好きではないんですけど好きな人は多い気がします。とにかく読みやすい短篇集です。


きりぎりす (新潮文庫)

太宰治のおすすめ作品 ヴィヨンの妻

表題作のヴィヨンの妻がけっこう好きだったようなおぼろげな記憶があります。

でも「親友交歓」や「トカトントン」もめちゃくちゃ面白いです。「家庭の幸福」や太宰治の絶筆「桜桃」なんかも好きです。

自分的には十分笑ってしまうような面白い作品集だったと思うのですが、後期の短篇集なので先に挙げた「走れメロス」なんかと比べればかなり暗いかもしれないのでそういうのが苦手な人には一応注意を喚起しておきます(親切)。

しかし正直なことを言えばそもそも暗くてなにが悪いんだろう?とか大まじめに思ってしまうんですけど、そういうところがもう暗くて気持ち悪いんだよ!(自己解決して終了しました)


ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

いかがだったでしょうか。他にも「右大臣実朝」とか「女の決闘」、「待つ」、「満願」あたりがすごく好きだった記憶があるのですが、どの本に入ってるかとかぜんぜん覚えてないので興味ある人はご自分で探して読んでみてください(さくっと終わらせようとしてたのに日付変わっちゃったし結局1万字を超えてしまい最後一気に投げやりになったw)。

というわけで6月19日は桜桃忌、この機会に太宰治が好きな人はもちろん、読んだことがないという人もお時間があれば読んでみたりすると面白いかもしれません。もちろん責任は持ちません。そんなこんなでグッド・バイ 。お後がよろしいようで。


グッド・バイ (新潮文庫)

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